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ガンマー線によるホルミシス効果とアルファ線によるホルミシス効果

放射線にはアルファ線、ガンマー線、β線があります。この中でホルミシス効果が期待できるのはアルファ線とガンマー線です。β線は電子銃のような物ですので、強すぎると火傷などを起こします。ガンマー線はホルミシス効果が期待できますが、鉄や鉛の一部さえも透過することがあり、極めて直線的なエネルギーが強く、強すぎるとやはり放射線によるNAなどの遺伝子障害の危険性が出てくる可能性があります。

しかし玉川温泉のような自然放射線レベルのガンマー線はそれほど強くなく安全です。玉川温泉の岩盤浴を起源とする岩盤浴はガンマー線によるホルミシス効果を期待するものです。しかしながら、場所により放射線量が大きく異なるので、安定的なホルミシス効果を得るには測定器が必要と考えます。

これに対してラドン温泉によるラドンガスはアルファ線のみを放出するために、身体に残ることなく安全で確実なホルミシス効果が得られます。またラドン温泉では温泉分析によりラドンの量が測定されていますので、風呂に入る時間や回数を調整することにより、自分に合ったホルミシス効果を確認することができます。

玉川温泉もそうですが、岩盤浴ではラドンガスの効果は期待できません。何故ならばラドンガスは空気の7.7倍重いので、たとえラジウムがラドンガスに壊変しても、速やかに流れ去り、そのラドンガスを吸うことはほとんどできません。このことを知らないガン患者さんがかなり多いようです。

ラドンガスの効果を得るためには密閉空間が必要です。できたら低温のミスとサウナのあるラドン温泉に入られた方が効果的です。

ラドン温泉とホルミシス効果

低用量の放射線にはホルミシス効果(正しくは放射線ホルミシス効果)があるのですが、放射線の内部被爆になると、いつまでも放射性同位元素が放射線を出し続けるので、被爆量が多くなり注意しなければなりません。
ちなみにプルトニュウムの半減期は2万4千年、ストロンチュウム90は29年、セシウム137は30年と、一旦人体に入ると長く人体にとどまり放射線を放出し続け、人体に対して放射線障害を生じさせます。
この点ラドンガスRn222は半減期が3.8日と極めて短く、またガスのため体内に入っても、人体の半減期は25分で、30分から1時間もすればほとんど体内から出て後に残りません。
そういうではホルミシス効果を得る方法としては、ラドン温泉による方法が極めて安全性が高いものです。

放射線のホルニシス効果とは

ホルミシスの語源はギリシャ語で興奮するという意味です。放射線ホルミシス効果とは、1982年にトーマス・D・ラッキー博士が、アメリカの保健物理学会で発表した仮説です。その内容は微量の放射線が身体を活性化するということですが、 今では様々な効能が言われています。

放射線ホルミシス効果
個体 細胞・代謝 遺伝子・分子レベル
①    糖尿病および高血糖抑制
②    放射線に対する抵抗力、高放射線に対する生存率のアップ
③    制ガン・抗がん作用がん死亡率の低下(三朝温泉のデータ等)
④    中枢神経効果、精神安定、認知力の向上
⑤    放射線障害に対する抵抗性の向上
①    免疫力の活性化、
②    細胞の活性化
③    細胞増殖が促進
④    新陳代謝の促進
⑤    基礎代謝が上がる
⑥    血流が良くなる
⑦    サイトカイン産生亢進
①    抗酸化物質増加による遺伝子障害の防御
②    ガン抑制遺伝子P53の活性化
③    DNAなどの染色体の修復の活性化
④    TRX(チオレドキシン)の合成促進
⑤    細胞膜流動性の亢進
⑥    脂質の酸化防止
⑦    ヒートショックプロテインの合成促進

ラドン温泉の実験的な検証

三朝温泉の住民と他地域での住民のとの比較実験で、前がんのガン死亡率が優位に三朝温泉が少なく、その寿命においても三朝温泉の住民が優位に長いことが分かっています。

岡山大学の放射線の山岡教授はウサギのラドンガス吸入実験では、意欲を出すアドレナリン、インスリンの増加、幸福感を出す脳内麻薬のβ―エンドルフィンの増加等々が認められています。

武田信玄とラドン温泉

先日NHKで偉人たちの健康診断という番組がありました。偉人たちがどういう健康法を行っていたかという番組です。ここで一番に出てきたのが武田信玄です。武田信玄は80回も戦争をして、自分だけでなく兵隊たちも負傷していたとのことでした。しかし、もう次の月には傷が癒え戦場に赴いたとのことです。

そこで出てきたのが「吸う温泉」として紹介された増富温泉です。増冨は有名なラドン温泉です。ラドン温泉は血流が良くなり傷が治りやすいのです。ところが武田信玄が足利と同盟を結び、京へ上洛したときに持病が悪化して死にました。NHKではこれは地元にいるときは温泉に入れていたが、京へ遠征すると信玄の隠し湯に入れなくなり、持病が悪化して死亡したと言っていました。

信玄の持病は胃癌であったという説が有望です。三朝町のがん死亡率の良い結果に対して、有意差はそれほど無いと言っている学者がいますが、それでも胃癌だけは有効であると結論していました。そういった意味では信玄がラドン温泉で生きながらえ、後世にその名を轟かせたと言えるかもしれません。

日本の有名なラドン温泉

インターネット上の参考値で正確なものではありませんが、各温泉のラドン濃度は下記のようになっています。ちなみに熊井温泉も入れてみました。療養泉としてのラドン温泉は30×10キュリーラドン以上です。
温泉名 県名 ラドン濃度
杉村温泉 新潟県 (54ME)198.9×10キュリーラドン
玉川温泉 秋田県 2.7×10キュリーラドン
三朝温泉 岡山県 (27ME)100×10キュリーラドン
やわらぎの湯 福島県 (56.7ME)206.5×10キュリーラドン
増冨温泉 山梨県 (10.4ME)飲泉(196ME)
熊井温泉(3号井) 福岡県 (78.9ME)
熊井温泉(5号井) 福岡県 (36ME)

増冨は風呂ではあまりラドンは期待できませんが、飲泉はかなりのものと考えられます。やわらぎの湯はいかりや長介氏が通ったラドン温泉です。情報によると、いかりや長介氏は一週間に一度やわらぎの湯に入ると元気が出て仕事ができたそうです。亡くなる直前まで仕事が出来ていたのは、彼のそういった知恵だったのかもしれません。

ラドン温泉における問題点

戦前の測定では日本のラドン温泉はかなり高いところが多かったようですが、現在ではどこもラドン濃度が低下しているようです。特に東北の大地震が起こってからは地価が振動し地熱が上がり、地下水のラドン濃度が激減しています。その代り空気中のラドン濃度は上昇しています。ですから空気中のラドンを測ることが最も地震予知には有効です。

白骨温泉の偽装事件で今まで永久ライセンスだった温泉登録が10年に1回測定し直さなくてはなりません。ところが上記の理由でどこもラドン濃度が激減しています。熊井温泉は福岡では3位でしたが、現在は1位です。何故ならばラジウムを含む花崗岩はふつう1000メートルの地下にあります。ところが熊井温泉では数メートルから花崗岩層があり、地熱の上昇とか振動には左右されず、2回目の温泉分析でも現在の高いラドン濃度を保っています。地質学的に熊井温泉の地盤は極めて珍しいところです。

ラドン温泉について知っておくべき重要なことがひとつあります。それはラドンガスが空気より7.7倍重たいということです。多くのラドン温泉の浴場ではドアが開けっ放しであったり、露天であったりして十分なラドンが吸収できていません。ラドン温泉に入るときは内風呂もしくは家族風呂のような密閉空間で療養することが大切です。